日本獣医がん学会に参加して感じたこと

2016-06-26-10-50-53

昨日から二日間、日本獣医がん学会に参加してきました。


内容は多岐にわたり、頭頸部の扁平上皮がん、リンパ腫、胃の腫瘍、リンパ腫、ペインコントロール、組織球肉腫などを中心に学んできました。

また、一番印象的で衝撃を受けたのは大阪大学、日本大学医学部の先生の手術映像です。
本当に衝撃的で、ここ数年で1番と言っていいほどのインパクトのある動画でした。
ヒトの顔面の腫瘍で顔を半分切除する映像や頚部・胸部・腹部を開いて顎・食道を切除する方法など、色々考えさせられる内容でした。

もし、自分の子の顔を半分切除しなければいけなくなった時、それでも手術をするのか。。。
何が正解なのか。どの選択が一番良いのか。
もちろん、医学的にはどの治療が一番生存期間が長いというような正解はあるかもしれません。ただ、それがその子や家族にとって一番なのか。身体的に、そして精神的にどれが正解なのか。

おそらく獣医療ではこういう場面が多いように思う。絶対の正解がないんだと思う。
そんな難しい分野だからこそ、今後も患者さんと向き合って、よく耳を傾け、一緒に正解を探していけたらと思う。

学会で勉強している途中、当院でこれまで治療してきた子たちのこと、そして現在治療中の子たちの顔が浮かんできた。

今後もより良い治療を提供できるよう頑張ります!



院長 萩森

獣医師・看護師不在のお知らせ


7月8日(金)・9日(土)は、獣医師 梶村
7月10日(日)は、院長 萩森が学会への参加のため、不在となります。

また看護師も7月9日(土)・10日(日)は学会への参加ため、数名不在となり、診察をお待たせしてしまう可能性がございます

大変ご迷惑をおかけしますが、ご理解の程宜しくお願い致します。

手羽先が喉に・・・

獣医師の梶村です。

今回は誤食してしまった5歳のM.ダックスフンドのチョコちゃんを紹介します。
チョコちゃんは椅子からテーブルに上がって、手羽先をまるごと1本食べてしまい、吐出と嘔吐を繰り返していました。
喉の奥をよく見てみると…


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咽頭内に異物を認めたので、取ろうとするも引っかかって取れず。
そのまま麻酔をかけて、摘出しました。
かなり尖った骨です。


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取り出した後はこんな感じです。
左右にぽっかり穴があいてます。


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穴は吸収糸で縫合しました。


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一ヶ月後に歯石の除去をしたので、前回の穴の部分も見ましたが、綺麗になっていました。


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レントゲンでは取り出す前と後でこんな感じでした。


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丸の中の白い部分が無くなっています。


チョコちゃん、現在は吐出も嘔吐もなく元気に過ごしています。


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今回は取り出しやすい場所にあったのでまだよかったのですが、食道内や胃内であった
場合は食道や胃に穴が空いてしまうこともあり、大変危険です。
内視鏡や胃切開が必要になることもあります。
誤食する子は繰り返すことが多いので、飼い主さんの注意が必要です。
動物が安心して暮らせる環境作りをしましょう。


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獣医師  梶村
 

院長不在のお知らせ


6月25日(土)・26日(日)は、日本獣医がん学会への参加により、院長 萩森が不在のため、獣医師 梶村のみの診察となります。


ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願い致します。

緑内障における半導体レーザーの使用

獣医師の梶村です。
先日、原発性緑内障に対して、半導体レーザーを使用しての毛様体光凝固術を行いました。 
緑内障とは、健康眼を維持する眼圧を超えた状態と定義されています。持続的な眼圧の上昇により、視神系が障害されて、失明します。

緑内障には白内障、水晶体脱臼、ぶどう膜炎などから起こる続発性緑内障症と、先行する眼内疾患を伴わない原発性緑内障があります。

緑内障の病態としては、毛様体で産生される房水と呼ばれる眼球を循環する液体が、何らかの原因により排出出来ないことにより、眼圧が上がります。

緑内障の治療の目的は、視覚の維持と疼痛の緩和です。既に失明している子に対しては、疼痛のコントロールが治療の目的となります。
内科治療には点眼薬、全身投与薬があります。外科治療では視覚のある緑内障に対しては房水の流出を促進させる前房シャント術などが推奨されており、視覚のない緑内障に対しては毛様体光凝固術、眼球摘出術、強膜内シリコンインプラント挿入術(義眼)があります。

今回の緑内障のワンちゃんは既に失明しており、毛様体光凝固術を行いました。
毛様体光凝固術は房水を産生する毛様体をレーザーで破壊することで、眼圧を下げる方法です。
眼球摘出や強膜内シリコンインプラント挿入術に比べて、簡単で侵襲性が低く、手術時間も短いことが特徴です。ただしうまく眼圧を下げられなかったり、時間がたてば再び眼圧が上がってくることもあります。


手術の様子です。


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このように角膜輪の外側のほぼ全周に、1秒ずつ40カ所程レーザーを当てました。 
術後24時間は逆に眼圧が上昇するのですが、うまくいけばこの先しばらく点眼は必要ありません。

緑内障は緊急の病気です。早ければ2日程で失明します。目の充血、瞳孔が左右で異なるなどの症状があれば、すぐに病院に連れていきましょう。

獣医師 梶村
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