前回の脾臓の腫瘍のダックス君の手術の続きです。

この子は、再発した会陰ヘルニアも併発していたため、同時に手術にて整復を行いました。

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 赤で囲った部分が会陰ヘルニアの場所になります。

会陰ヘルニアは、去勢していない雄犬に好発する病気で、会陰部(骨盤周り)の筋肉が萎縮し、萎縮したヘルニア孔(穴)から脂肪や直腸などの腹腔内臓器が飛び出てくる病気です。

治療には、外科治療(逸脱した臓器を戻し、ヘルニア孔を塞ぐこと) を必要とします。

通常、内閉鎖筋や仙結節靭帯といった周囲の組織を縫い合わせてヘルニア孔を防ぐのですが、今回はすでに他院で1度目の手術をされていて、周囲の筋肉は薄く裂けていましたので、『ポリプロピレンメッシュを用いた整復法』を選択しました。 
この方法は、感染や異物反応といった副作用がでなければ、再発率の低くで非常に成績の良い術式です。

実際の手術内容をご紹介します。

 <これ以降は手術中の写真が続きますので苦手な方はご注意ください!>
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会陰ヘルニアの部分の皮膚を切皮し、周りの組織を剥がしていきます。



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ヘルニア孔(穴)が見えてきました。やはり、ペラペラになった筋肉がさけて大きな穴が空いていました。


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ポリプロピレンメッシュをコーン(円錐)状に整え、大きさ太さなどを微調節します。



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ヘルニア孔にメッシュを差し込み、穴を塞ぎ、周囲組織と縫合します。



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皮膚を縫合して手術終了しました。


この子は本当によく頑張りました!

何より、家族全員が治療をきちんと考えてくれ、この子への愛情が伝わってきます。

家族全員で乗り越えた手術だと感じました。


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抜糸時の写真です。本当に元気で何よりです!これからも長く家族と幸せで過ごせますように。


院長 萩森