病気

低血糖について

獣医師の梶村です。

今回は低血糖について説明します。
低血糖とは何らかの原因により血糖値が低下した状態のことで、様々な症状が現れます。

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◯症状
低血糖が重度になるにつれ、活動性の低下、性格の変化、震え、ふらつき、失禁、嘔吐、下痢、痙攣、昏睡、頻脈、低体温などが認められます。

◯原因

インスリン過剰投与
インスリノーマ
アジソン病
肝不全
重度の飢餓
若齢性の低血糖
激しい運動
悪性腫瘍
敗血症
キシリトール中毒
エタノール中毒

などで低血糖が起こります。 


インスリン過剰投与は糖尿病の治療中によく起こります。
インスリノーマは膵臓の腫瘍で、ほとんどが悪性です。
アジソン病は副腎皮質ホルモンが不足する病気です。
肝不全は門脈体循環シャントなど様々な原因により起こります。
一部の悪性腫瘍ではインスリン様の液性因子を分泌することにより、低血糖を引き起こします。
敗血症とは、感染症により重篤な全身性反応が起こることです。
 

◯検査
原因を探すため

血液検査
レントゲン検査
エコー検査
ホルモン検査(ACTH刺激試験) 

などを行います。


◯緊急治療
自宅ではガムシロップや砂糖水を口から与えてください。
病院では血管に直接、グルコースを投与します。

◯予後
原因疾患やそれのコントロール次第です。
重度の低血糖が長時間続いた場合、脳に障害が起こる可能性があります。

◯気をつけるポイント
血糖値の低下により、徐々に重篤な症状が出てきます。
上記の症状が出始めたら、すぐに病院に連れていくか、それが無理なら食事、砂糖水、ガムシロップを与えてください。
もちろんその後は病院に来て、低血糖であれば原因を探す必要があります。
命に関わる事なので、その場限りで終わらないようにしましょう。 

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獣医師 梶村

 

犬の甲状腺機能低下症について

以前アップした記事ですが、携帯電話での表示がおかしかったため、もう一度アップします。

獣医師の梶村です。
今回は犬の甲状腺機能低下症について、説明します。 

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この病気のほとんどが甲状腺に病変が存在し、自己免疫異常の可能性があるリンパ球性甲状腺炎と、原因が分からない特発性甲状腺萎縮の二つに大別されます。

以上の病気などにより、甲状腺ホルモンの合成及び分泌が低下することにより、様々な臨床症状を引き起こします。 


◯症状

肥満、活動性低下、左右対称性脱毛、色素沈着、パサパサもしくはベトベトした被毛、難治性再発性外耳炎、徐脈、不妊症、無発情、ふらつき、震え…など様々です。 


◯検査

血液検査にて、軽度の貧血、コレステロールの上昇、トリグリセリドの上昇、肝酵素の上昇、クレアチンキナーゼの上昇が認められることがあります。

ホルモン検査にて、T4、FT4、TSHを測定します。

T4(サイロキシン)は血液中でタンパクに結合しており、生物学的活性を持ちません。
FT4(Free T4)は血液中で遊離しており、細胞内に入って、生物学的活性を発揮します。
その比率はT4が99%、FT4が1%ほどです。
T4とFT4は薬剤(ステロイド、NSAIDs、フロセミド、フェノバルビタール、臭化カリウムなど)の影響や、非甲状腺疾患の影響を受けることがあります。

TSHは甲状腺刺激ホルモンのことです。
ネガティブフィードバックにより、甲状腺ホルモンが低下すると、それを増加させるために、TSHは上昇します。 
ただし甲状腺機能低下症の子でも、25%はTSHが上昇しないので、注意が必要です。


◯治療
レボチロキシンナトリウム(合成T4)の錠剤もしくは液剤を投与する。


◯予後

基本的には良好ですが、生涯の投薬が必要となります。
無治療もしくは治療が奏功しなければ、ごく稀に粘液水腫性昏睡という致死的な状態になることがあります。人での死亡率は15〜60%と言われています。 
症状としては、低体温や精神異常、皮膚の凹まない固い水腫などが認められます。


◯注意するポイント
甲状腺機能低下症は様々な症状があり、飼い主さんが気付かないことも多い病気です。
なので、定期的に病院に来て体重をチェックしたり、健診で甲状腺ホルモンを測定することで、早期に気付いてあげられるかもしれません。
また薬剤や非甲状腺疾患による甲状腺ホルモンの低下(ユウサイロイドシック症候群)により、甲状腺機能低下症と早とちりしてしまわないに注意が必要です。
それを防ぐためには、臨床症状、投薬、併発疾患、検査の結果などを綜合的に考える必要があります。


ダイエットしているのに痩せないなぁ、最近元気がないなぁ、皮膚病が治らないなぁ、などとお悩みの方は一度受診されることをお勧めします。 

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獣医師 梶村

 

おしっこの量を増やしましょう!

看護師の和泉です。

今年は、急に冬が来たかのように寒い日が多いですよね。
秋を感じることが、あまりなかったように思います。
せっかく買った秋服も、出番がないままタンス行きです…(笑)



以前にもブログで、猫ちゃんの膀胱炎について、書かせていただいたことがありますが、今回は改めておしっこの病気についてお話します。




冬場の寒い時期になってくると飲水量が少なくなることがあります。
飲水量が減少すると、おしっこが濃くなり『膀胱炎』や『結石症』などの病気になりやすくなります。



飲水量の減少だけではなく、尿がアルカリ性に傾いてしまうと『ストルバイト結石』が、ミネラルなどの多い尿になると『ミネラル分を材料とする結石』ができやすくなります。

また、ストレスが多い環境では、結石や細菌感染がなく、原因がはっきりしない『特発性膀胱炎』につながることがあります。
血尿や頻尿などの症状が出て、治っても再発を繰り返しやすいです。




このような病気にならないためにも、猫ちゃんのお水や食事内容などに気をつけなければなりません。

気をつけるポイントは、6つあります。



1.食事とおやつに気をつける

膀胱炎や結石症は、食事療法がとても大切です。
どのようなフードがいいか、獣医師と相談しましょう!

◎おしっこの量を増やすフードにする
◎結石の材料となる、カルシウムやマグネシウムを多く含むおやつは与えないようにする(じゃこや煮干しなど)





2.お水を飲ませるように工夫する

新鮮なお水を用意することで、飲水量をあげましょう!

◎立ち寄りやすく静かな場所に、設置する
◎お気に入りの容器を、見つけてあげる(陶器や流れる水、循環する水など)





3.おしっこを我慢させないようにする

トイレを落ち着いて使えないと、おしっこを我慢してしまうことがあるので気をつけましょう!

◎こまめに掃除をして、清潔なトイレにする
◎大きいトイレにする(体の1.5倍くらいの大きさが理想)
◎トイレの数を、猫ちゃんの数プラス1置く





4.遊んであげる

猫ちゃんは遊ぶことが大好きなので、適度な時間で遊んであげましょう!

◎ストレスを発散させてあげる
◎元気かどうかのチェックをする





5.太らせないようにする

肥満による運動不足は、水を飲む機会を減らしてしまい、結石をつくりやすくしてしまうことがあるので、気をつけましょう!

◎肥満予防のため、食事管理をきちんとする(適正体重の量を計ってあげる)
◎遊んであげることで、運動をさせる
◎こまめに体重を測る





6.定期的に通院をする

投薬や食事療法をやめてしまうと、再発してしまうことがあります。
お薬や食事内容の変更は、獣医師に相談しましょう!

◎定期的な尿検査をする(おしっこに結石症の元になる、結晶などが出ていないかを確認)
◎定期的なエコー、レントゲン検査をする(結石ができていないかを確認)





膀胱炎になりおしっこが出なくなったり、膀胱や尿路に結石ができてしまい、その石が尿道をふさぎおしっこが出なくなると、命に関わってきます


このような病気にならないように、猫ちゃんのおしっこ管理に気をつけてあげましょう!



看護師 和泉

どのくらいの頻度で体重測定していますか?


こんにちは、看護師の岡本です。

皆さんはどのくらいのペースで
愛犬、愛猫の体重測定をしていますか ? 
 

私はなんと1週間に1度ガンバの体重を測っています!


一応、ダイエット中なので…小まめに測定しています

子猫を飼っている吉田先生は
カプリくんの体重を毎日測っています
これは子猫の場合、毎日凄い勢いで体重が増えていくはずなので
その成長と体調の確認ですね

また、毎月予防薬と体重測定に来て下さる方は多いと思いますが、
その場合は月に1度ですね 


……このように、


体重測定は人それぞれ頻度が違うと思います。

では、どのくらいの頻度が良いのでしょうか


まず、

●体重測定はなぜした方が良いのでしょうか?

急激な体重の増減は
体の中で何か問題が起きている可能性があります。
増えすぎも減りすぎも
体に良くないのはご存知だと思いますが
人と比べ身体の小さなわんちゃんねこちゃんは
少しの体重増減だとしても、
人に換算するととてつもない体重になっている事があります

例えば

わんちゃんの体重が一週で5kg→5.5kgになったとします。500gの増加ですね。 
 
私たち人間からすると
ちょっと最近食べ過ぎたかな~
でも、まだ大丈夫~という感じですが…

これを人間の体重で同じ割合で
増えたと換算すると…
50kg→55kgとなり 5kgの増加です。
かなりの増加ということがわかると思います  
 

ほんの少しの体重増加・減少が
実は、ほんの少しではないことに気づいてあげてください 


★健康な状態の体重を普段から把握するだけで、体重の増減で病気の早期発見や病気の予防などに繋がります!



●体重が増えてしまうと?

心臓病や高血圧、皮膚病、ガンなど本当に色々な病気にかかりやすくなります!
良い事はないですね


●体重が減る事は?

ダイエットをしている場合以外で体重の減少が見られると
命に関わるような病気が愛するわが子の身体を蝕んでいる場合もあります。


ここで本題の
●体重測定はどのくらいの頻度でしたらいいの?

健康なわんちゃんねこちゃんであっても
最低、月に1回は測定してあげてください 
理想は毎日ですが、現実的に難しいと思います。
可能であるのなら、自宅でもいいので1週間に一度がオススメです
 

●我が子の理想体重は?

まず、体型のチェックをしてみましょう!
病院ではBCSいう表を使用し評価していきます。

下の表がBCSと言うボディコンディションスコアになります。
ねこちゃんの画像ですが、
犬猫ほぼ同じなので、参考にして下さい


ヒルズから引用




BCSとはわんちゃんねこちゃんの為の体型表で
5段階評価で表されています。
体型がBCS3、
つまり5段階評価の真ん中の体型となれば理想的です

BCS3の基準は
●過剰な脂肪の蓄積がなく肋骨が触れる
●上から見てくびれがある
●横から見てお腹のつりあがりがある

お家のわんちゃんねこちゃんでも照らし合わせてみてください 
BCS4からは肥満です



●体重測定においての注意点⚠️

① 1週間に1度の測定がオススメ
    最低でも月に1度 測定してあげてください


②同じ時間での測定

排泄や食事、運動などにより
体重の変動が1日の中ででも起こってしまうので
測定はだいたい同じ時間帯での測定をオススメします
 
 
③10gまで測れる体重計にしよう!

先ほどもお話しましたが人に比べると
とても小さなわんちゃんねこちゃんは
少しの体重増減も換算するとすごい量なこともあるので
細かい数字まで測定できる体重計での測定をオススメします  


④必ず静止して測る

病院でも起こってしまうのですが、
台の上などに乗ると
わんちゃんねこちゃんは落ち着かず
バタバタと動いてしまうことが多いです。
ですがそうなると
その動きにより、かなり体重が変動するので
台の上ではマテをできるようにしておくと行いやすいです!

また動いて測定できない子は
抱っこでの測定をオススメします

 
我が子の体重=抱っこでの体重ー抱っこした人の体重
というふうに体重が簡単に測定できます  


ちなみに私は、お風呂に入る前に
上の絵のようにガンバくんを抱っこでの測定で毎日はかり 
ついでに自分の体重もチェックもしています
一緒に測定すると自分の体調管理のもなるので 一石二鳥です

抱っこが苦手な子は上の絵の右のように
カゴ、ケージなどの重さを測定しておき、それに入れて測定も◎です!

きちんと体重管理をして、
寒い冬をみんなで元気に過ごしましょう

看護師:岡本






 

掻いたり、噛んだり、どーしたの?

看護師の和泉です。


最近、食物アレルギーかな?という症状のわんちゃんや猫ちゃんが来られることが増えております。


人間でも、卵だったり小麦などの穀物だったりとアレルギーがある方がおられますよね。

それと同じで、わんちゃんや猫ちゃんにも痒みや下痢を起こしてしまうような、その子の身体に合わないアレルギー反応を起こすことがあります。


発症年齢はさまざまで、時間とともに症状が進行します。
症状はアレルギーの原因となる食物を含む食事をとった直後から始まります。


アレルギーとなる主な食物

1.牛肉🐂
2.乳製品🥛
3.小麦🌾

1.牛肉🐂
2.乳製品🥛
3.魚🐟





みなさんのわんちゃんや猫ちゃんには、こんな症状ありませんか?


□年中いつでも身体を痒がっている
□酷い痒みがあり、掻きむしっていることがある
□特に、口やお尻周り、足元、お腹を痒がることが多い
□食欲や飲水量も変わった
□ウンチが軟らかくなった
□最近食事を替えたら、痒がるようになった





このような症状が出たら、食物アレルギーかもしれません。
当院にて、アレルギーの検査や食事療法など可能ですので、このような症状が出たら当院までご相談くださいね!



また、食物アレルギーのあるわんちゃん用のおやつなどもありますので、今現在食物アレルギーを持ってる子でおやつに悩まれている方も是非、ご相談くださいね!



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